終わりの序曲始まりの夏休み

「夏を制する者は、受験を制する」

夏休みが始まる数分前に暑苦しい担任が発した言葉は

高校生なら大半の人が聞いていると思われる

ありふれた言葉にウンザリした気分となり

そんな気分を紛らわすためにすぐ傍にある窓から空を見上げた。

今日も空は青く壮大に広がっており

熱い視線で地上を眺める太陽を遮る武士の様な雲は現れない。

・・・一人、いや一本と言おうか

視線を遮るとまではいかないが青のキャンパスに一本の白がはしっている。

「明日は雨が降るな」

そんな独り言を呟いたとき、担任によって黒板に擦り付けられていた

哀れなチョークが乾いた音を立て崩れ折れ

教壇に叩きつけられたとの同時に

授業の終わりと夏休みの開始を知らせる電子音のチャイムが鳴り響き

高校生最後であり、勉強の夏休みになろうと思われる

夏休みが

始まった。

実際はこんなドラマチックアニメチックな始まり方ではなかったよ

始まってもう二日

おのおの方は勉強してますか？

私は当然

・・・

・・・・

・・・・・

ベンキョウシテマスヨ

もうバリバリ最強やってるよ

手がしびれて書けなくなるぐらい書いたよ

ノートはもう六冊使い切ったよ

と言ったのは嘘だ

誰かいっしょにトレーニンｇじゃなくて

勉強しませんか